カナンの園 76号 2002年03月15日発行
I N T E R V I E W
人と人が支え合い、
たすけあう二十一世紀に。
学園建て替え募金に尽力された、岩手県学校生活協同組合の理事
藤原綾子さん(58歳)


共同開発をきっかけに組織的にカナンを支援


──カナンの園との関わりのきっかけは。
 一九九五年にカナンの園と共同開発した「ちきゅうせっけん」からのご縁です。 盛岡市内の学校給食の廃油を使い、ヒソプ工房さんで製造、組合員に供給しております。

 高い洗浄力ながら肌に優しく、生分解もできる「ちきゅうせっけん」は、 地球環境や健康、福祉など、さまざまな願いを込めて開発したせっけんです。 爆発的な売れ行き…とまではいきませんが、こだわりの商品。 年に三回、組合員に案内する共同購入のチラシ(ファミリー月間)では必ず表紙で紹介し、 赤ちゃんの誕生した組合員へのプレゼント品としても採用しています。

 個人的には十七年ほど前から、同じ子どもを持つ母親として、 ささやかながら募金の協力をしたり機関誌を拝見していました。 それだけに「ちきゅうせっけん」の話があったときは、おのずと力が入ったものです。

 岩手県学校生協ではユニセフ活動にも力を入れており、 ほかの福祉活動にも取り組んでいますが、 組織的な取り組みとして協力している福祉施設はカナンの園。 「ちきゅうせっけん」の利用をもっと拡大できないかと、 毎週六千人が参加する「いわて生協」の共同購入での取り扱いを働きかけてもいるところです。

──奥中山学園建て替え募金でも、組合をあげて募金活動を展開してくださいました。
 理事会で承認を得、取り組むならば組織的に取り組みたいと準備をしてきました。 まずは募金活動の一線に立つ各地区の代表者に活動の意義をよく理解してもらうことが大切と思い、 昨年九月の総代会議で本庄理事長にご講演いただきました。 「学校とは一人ひとりの子どもが持つ宝を探すところ」 「障害も一つの個性と考える」 「障害を持つ人が社会で生活する環境を整えることが自分たちの役割」 「人を大切にする社会をつくりたい」などなど、 心に響く言葉がたくさんあり、参加者一同、具体的な活動を前に、 改めて建て替えの意義を認識することができたと思います。

 「ちきゅうせっけん」の開発当初に訪れたカナンの園に比べ、 いまは成人の方が増え、施設の充実のみならず、 利用者の方が社会のなかで生きていく環境づくりを模索されている──。 お話をうかがいながら、年月のなかでカナンの園の使命も変わってきたのだなあと、 感慨を覚えました。




●岩手県学校生活協同組合
1948年、戦後の荒廃のなかで子どもたちの教育を等しく受ける権利を守ろうと、 学用品をできるだけ安く供給すること、自らの力で暮らしを守ることを目指して設立。 県内の小中学校、高校に勤務する教職員、退職した教職員、一般の職場などが加入し、 現在組合員数は約28,300人(2002年2月20日現在)。


ふじわら あやこさん
1943年玉山村生まれ。65年に岩手県学校生活協同組合入協。 77年に組織部長、89年より常勤理事・組織部長。98年より岩手県生活協同組合連合会理事。 設立準備から取り組み、 昨年12月に発足した(財)日本ユニセフ協会岩手県支部 (事務局:いわて生協本部2階 電話019-687-4460)の活動は「生涯のボランティア」とも。 同支部の常務理事も務めている。

見過ごしていることを教えてくれる人たち

──九月から募金活動を実施され、わずか二カ月あまりで百四十八万五千五百七十六円もの募金を頂戴しました。
 組織的に応援していこうと、独自に学校生協の理事長名で賛同を呼びかけるチラシを作成し、 専用の募金袋も作って、各学校に案内しました。 地区総代会に参加した生協係の組合員さんたちの尽力もあったのでしょう。 結果的に四百二十校、十団体の組合員、六千三百人の協力を得ました。 一人一口二百円の呼びかけにもかかわらず、高額の寄付を寄せてくださった方もいます。 せっかく多くの協力をいただいたので、今後の建て替え計画の推進状況についても、 組合員の皆さんへしっかり報告していきたいと思っています。

──これからのカナンの園に期待することは。
 六年ほど前、やはり本庄理事長のご講演のなかで、いまも心に残っているエピソードがあります。 カナンの園を利用している人たちの一人が、食事中にむせてカレーライスをパーッと吹き出してしまった。 普通なら思わず「汚い!」と感じてしまうところを、 周りの利用者の人が真っ先に「大丈夫か」と声をかけたというのです。

 私たちが見過ごしている小さな、でも大切なことを、カナンの園の人たちはたくさん持っていると感じます。 いままで以上に交流の機会を持ち、彼らと感動を分かち合えたらと思います。  二十世紀は競争と効率を追い求めた時代でしたが、 二十一世紀は人と人とが支え合いたすけあう社会にしていきたいというのが、私たちの願い。 カナンの園の願いとも重なるものです。その実現を目指して、共にがんばっていけたらと思っています。
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