カナンの園 76号 2002年03月15日発行
・と・ば・ ・ろ・い
  三愛学舎養護学校 澤谷常清

  「優しさ≠フ意味」

 「これからクリスマス会を始めます」

 司会者の佐々木君が、勢いよく開会を告げた。 それぞれの学年から歌あり、劇あり、ダンスもあった。放課後の練習の成果が十二分に発揮されていた。

 いよいよ、保護者による出し物がスタートした。 各学年から一芸ずつ発表された。職員も引っ張り出され、歓喜に満ちた演技であった。

 「今年で最後のクリスマス会ね。思いっきりやりましょうよ」と語る卒業生のお母さんがいた。

 「何もできないと思っていた娘が一生懸命やっているから、負けられないな」というお父さんがいた。

 思い思いに仮装し、めいいっぱいの演技が繰り広げられた。 普段は見ることが出来ない親の演技を見て、生徒たちはもろ手をあげて喜んでいた。 カメラのファインダーを通して、歓喜の様子が目に映った。涙がこぼれてきた。


 「オギャー」と生まれた我が子を見たとき、 息が詰まりそうなくらいショックだったと語る、ダウン症の子供を持つお母さんがいた。

 自閉症の我が子がいつ突然に飛び出すか心配で、街場には連れていけなかったと語るお母さんもいた。

 ファインダーの奥に、どんなつらさにも弱音を吐かない顔があった。悲しみに耐えた顔があった。 それは言葉では言い表せない「喜び」として目に映った。

 潔く、前へ前へと進む背景には、言葉では語れないほどの「悲しみ」があり、深い「憂い」があることを知った。

 隣人に優しくできる人は、「苦しみ」や「悲しみ」をたくさん知っている人である。そして人を「憂える(気づかう)」気持ちを持っている人である。「優しさ」という言葉が、「人」のつくりに「憂」がつくことの意味がわかった。

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